準確定申告が必要な場合と手続き

　準確定申告の概要がわかったところで、ではどのような人が準確定申告をする義務があるのでしょうか？簡潔に言うと通常の確定申告が必要な人は準確定申告をする必要があります。自営業者や不動産貸付を行う人､サラリーマンで副業がある方などです。

また、準確定申告は税金を納める必要がある場合だけでなく通常の確定申告と同様に還付申告も行えます。源泉徴収を受けている人や医療費控除などがある人はお金が戻ってくる可能性があるかもしれません。

準確定申告が必要なケース

・自営業者､個人事業主

・給与所得と退職所得以外の所得金額が２０万円を超える場合

・２か所以上から給与をもらっていた場合

・公的年金等による収入が４００万円を超える場合

・公的年金等による雑所得以外の所得金額が２０万円を超える場合

・土地建物の売却等により利益が発生している場合など

還付申告ができるケース

・給与所得者で源泉徴収を受けている場合

・高額の医療費を払っていた場合

　準確定申告の期限は「相続の開始があったことを知った日から４か月以内」です。簡潔に言えば被相続人の死亡日から４か月以内と考えて差し支えないです。還付申告の場合には期限の定めはありませんが、５年を超えると請求できなくなりますので早めに還付申告を行いましょう。

　申告書の提出先は相続人の納税地の税務署ではなく、被相続人の納税地の税務署になります。直接の提出が遠方等で難しい場合には郵送でも提出できます。平成３０年５月末現在準確定申告は通常の確定申告と異なり電子申告はできませんので注意してください。

　準確定申告書を提出する際には原則として相続人全員が共同で１つの申告書を提出します。この場合準確定申告書に「所得税の確定申告付表（兼相続人の代表者指定届出書）」を添付する必要があります。

　相続人間の不和が理由で共同で提出することが難しい場合には別々に申告書を提出することも出来ますが、この場合には直ちに他の相続人に申告書に記載した内容を通知しなければなりません。

　被相続人が事業や不動産貸付を行っていた場合には将来遺産分割により相続人がその事業等を引き継ぐことも多いかと思います。この場合において相続した年より青色申告を受ける場合には青色申告承認申請書の提出期限に注意が必要です。具体的な期限は被相続人が青色申告者であったか否か､相続人が相続開始前より事業を行っていたか否かにより細かく変わりますのでここでは記載しませんが、いずれにせよ遺産分割が確定してから申請書を提出したのでは間に合わない可能性が高いです。ですので相続開始年より青色申告を行いたいという人は注意が必要です。

　また被相続人が消費税の納税義務者であった場合や相続人が事業者であった場合には青色申告承認申請と同様に消費税関連の届出期限にも注意が必要です。